人は日々食べている。
何を、どこで、誰と。
私は今日、お好み焼きを食べる。
商店街にある「食事処ひので」にて、隣り合わせた初めましての人たちと一緒に。
暖簾をくぐってこんにちは
正午少し前にお店に到着。
初めて来るのに、なんだか懐かしい。
壁にかけられたメニュー表からお店の歴史をひしひしと感じる。
初めてのお店ではそこの看板メニューを食べるのがマイルールなので、今回も例に漏れずそれに従う。
お好み焼き“ひのでスペシャル”をひとつ注文し、完成を見守りながら店主と話をする。
勿体無いから、やります。
店主の名は「ホシヤマ」さん。
手際よく「ひのでスペシャル」を作る姿に見惚れつつ、お店の歴史について尋ねてみた。
ホシヤマさんで二代目だが、一代目とは親でも親戚でもなければ、親しい間柄だったわけでもない。
当時、一代目店主が体調不良でお店を閉めるという話を耳にしたホシヤマさんは、せっかく繁盛しているのに
無くなってしまうのは勿体無いと感じ、ひので二代目店主になった。
当時土木関係の仕事をしていたホシヤマさんにとって、お好み焼き屋は全くの未経験。
奥さんと二人で引き継いで今年で35年、お店としては実に半世紀の歴史があるという。
日の出が見えるまで
現在の営業時間は通しで11時から18時。
お店を引き継いだ頃は朝の3時頃まで営業していた。
お酒を飲んだ帰り道、まっすぐ家に帰らず最後の寄り道としてひのでに来るお客さんが多かったそうだ。
一代目の頃は日が昇る頃まで営業することもあったらしいが、時代の流れとともに徐々に減っていく。
お店の名前である「ひので」には、「日の出までお客さんが居られるように」という意味があるのかもしれないねと、ホシヤマさんは言った。
正確な名前の由来はわからないとのことだった。
お隣さんと一緒に
正午を回るとお客さんが続々と訪れる。
次々に料理を作っていくご主人と、お客さんに親しげに話しかける奥さん。
その合間、流れに乗るように会話に加わるご主人。
ひとつひとつの独立した動きが混ざり合って、店内には活気が生まれる。
気がつけば私も隣の女性の話に混ざっていた。
一人で行っても独りでは無い。
会話に加わらなくても、隣の人の話にぼんやりと耳を傾けて、料理の完成を待つこの時間はとても贅沢だ。
生まれも名前も年齢も知らない「お隣さん」と一緒に食べることができるのが、ひのでの楽しみ方のひとつかもしれない。
懐かしさの正体
ご主人と奥さんの絶妙な連携プレーで、私の「ひのでスペシャル」は完成間近。
鉄板からじゅうじゅうと音がして、香ばしい匂いが全身を包む。
お店に入って最初に感じた懐かしさは、この匂いと音からやってきたのかもしれない。
実食
青のりをトッピングしてついに完成。
鉄板の上で自分で切り分けて食べるスタイルは、子供の頃は上手にできなかった。
食べやすい大きさに切り分けて、一口で頬張る。
鉄板の余熱で常に温かいので火傷に注意して。
完成を待ち侘びた「ひのでスペシャル」はとびきり美味しかった。
具材、特に海鮮が大きいので食べ応えもバッチリ。
当たり前、ではない。
お店を守り続けてくれたホシヤマさんご夫婦と、足を運び続けたお客さんが居てくれたから、私は今日ここでお腹を満たすことができた。
ありがとうございます。
ご馳走様でした、また来ます。
またいつか、ここで日の出を見る日が来ますようにと願いながら、帰路に着く。
店舗情報
店舗名 | お好み焼き・お食事処 ひので |
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住所 | 〒755-0029 山口県宇部市新天町二丁目3-14 |
営業時間 | 11:00〜18:00 |
定休日 | 月曜日 (月曜祝日の場合は火曜日が代休) |
取材日 | 2024年10月31日 |
駐車場 | なし |
うべとっぴん | https://ube-toppin.com/shop/3585/ |
※こちらの記事の内容は2024年12月25日現在の情報です。
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