2021年11月に開催された「TOKIwaIKOT(ときわいこっと)」に皆さまは行かれましたか?
このアイディアは若者クリエイティブコンテナに所属の山口大学の学生と宋 俊煥先生(以下、「宋先生」という)が作り上げました。
多くの国を見てきた宋先生が思うこれからの宇部市と、「TOKIwaIKOT(ときわいこっと)」を開催してから見えた「ウォーカブルシティ」、「コンパクトシティ」とは何かを尋ねました。
そもそも若者クリエイティブコンテナって?
中央町の多世代交流スペースにある2つ並んだコンテナをご存知ですか?
ポレポレカフェの隣にあるのが、若者クリエイティブコンテナ(以下、YCCUという)です。
そのはじまりは、2015年に宇部市に来た宋先生がまちなか再生ミーティングまちなか再生のために市民に「若者が出来ること」、「若者にしてほしいこと」について提案してもらう場に講師として参加した際に、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)「公民学」連携の課題解決型まちづくり拠点]を紹介したことがきっかけです。
宇部市もまちなかに若者が交流する場である若者センターを作りたいという思いがあり、宋先生も公民学が連携しながらまちづくりを企画するプラットフォーム機能が重要だと思っていました。
そこでまずは「若者」の目線から「まちなか再生」を考える場として、山口大学の学生と宋先生が管理するYCCUが作られました。
中央町活性化の取り組み
2017年4月からスタートしたYCCUでは、まず中央町の活性化の取り組みを行われました。
中央町が飲食街ということもあり、特定の人しか来られないイメージがありました。
そこで、ポレポレカフェのオーナーである富岡さん達と協力し、まずはイベントを開催して多世代の交流を促して中央町を盛り上げようと、ジャズや盆踊りなどの様々なイベントを開催しました。
また、中央街区公園・ポケットパーク洋服のチョッキ「ベスト」についているポケットのように小さい規模の公園等のまちなか公共空間の利活用マネジメントに関する研究も行っています。
その取り組みの一つとして、2018年には中央町のポケットパークの一画にストリートファニチャー「地球のねじ」が設置されました。
TOKIwaIKOT(ときわいこっと)
宇部市では、中心市街地のにぎわい創出、豊かな日常生活のため、常盤通り(国道190号線)を中心に「居心地がよく歩きたくなる」まちなかを作る、ウォーカブルなまちづくりに取り組んでいます。
その取り組みの一環として、2021年11月に開催された「TOKIwaIKOT(ときわいこっと)」では、車中心の道路から人中心のウォーカブルな空間への転換を目指し、社会実験的に常盤通りの一部を活用し、歩いて楽しい様々な体験ができる空間を用意しました。
イベント当日は、普段人通りがない常盤通りとは思えないほどの人通りでにぎわっていました。
TOKIwaIKOT(ときわいこっと)の背景
全国でウォーカブルなの取り組みが注目されていることから、YCCUとして側道の駐車利用状態を調査した結果、常盤通りの側道を利用してみてはどうかという意見が出ました。
そこで側道にキッチンカー、建物側に出店テントを設けることにし、歩道には来場者が飲食でき、滞留するスペースを設けたいという考えから、トキスマ等で利用していた中古パレットを再利用し、立ち飲みカウンターが作られました。
ときわいこっとを開催して見えた宇部市のウォーカブルシティの今後
今回「TOKIwaIKOT(ときわいこっと)」というイベントで実際に側道を利用してみた結果、多くの方から良かったという意見がありました。今回は1か所でしたが、場所を変えて同じイベントではなく、違う形で挑戦しても良いという意見もありました。
また、植樹帯の一部を車が通れるくらい開け、駐車場の部分とキッチンカーを置くスペースを作るのもいいかもしれないと思っています。他にも、今回はイベントの要素として2日間でしたが、日常の一部として位置付けた場合を想定し、期間を1週間または定期的に開催した場合どうなるのかを検証するのもいいかもしれないですね。
今後の目標:若者の部会を
公民学のプラットフォームの前段階として作られたYCCUについて宋先生は、今後プラットフォームの機能をより一層充実していく必要があると考えています。
宇部には複数の団体が存在し、それぞれが動いてイベントなどを行っているのが現状です。
その団体をまとめ、そこで定例会を開き情報を交換を行い、イベントを運営して相乗効果を生みながら、今後の宇部をどういうビジョンで描いていくか、どんな方向性に持って行くか一緒に考えていけるプラットフォームを作っていけたらと考えているそうです。
日本と韓国とのまちづくりの違い
宋先生によると日本のまちづくりは民間が主体の場合が多いとのことです。
ボトムアップ方式で、自由度が高く、自分たちがやらないといけないという気持ちが強いようです。
そのため、議論しながら進めるので意思決定が遅い点もありますが、ゆっくりやっていくため着実性があるそうです。
その反面、韓国は日本とは違いトップダウン方式で、結果がすぐ目に見えるという良さはありますが、思っているものと違うものが出来る場合があるとのこと。
日本と韓国の良いところをうまく融合していきたいと考えているそうです。
宇部市の目指すコンパクトシティの理想図
イタリアの古い町並みも好きですが、よく事例としてもあげられるアメリカのオレゴン州にあるポートランドの都市計画がよく出来ているので好きです。そこは街区の大きさが60m×60mと決められています。人は200m以上の距離は長いと感じ歩くことがきつくなり始めます。100m以下だとあちこちに行こうと余裕が生まれ、曲がることも楽しいと感じ偶然性が生まれます。そういったことがポートランドはうまく出来ています。また、公共交通の路面電車は停留所が200mぐらい間隔のため、歩きやすく路面電車を利用しやすくなっています。まさに宇部市が目指しているコンパクトシティの理想だと思います。
※こちらの記事の内容は2022年2月25日現在の情報です。記事の内容は変更の可能性があります。